ISD条項 ( アイエスディーじょうこう )とは?

ISD条項とは、外国企業などが投資先の国の政府を相手取り、国際仲裁機関で訴えることを可能にする国家間の取り決めのこと。投資協定や経済連携協定などに盛り込まれる条項で、企業などの投資家の保護を目的としている。「投資家対国家の紛争解決条項」(Investor State Dispute Settlement)を略して、ISD条項またはISDS条項と呼ばれる。

外国企業などの投資家が投資先の国で損害を受けた場合、通常は相手国の裁判所で訴訟を起こすことになる。しかし、ISD条項が締結されている場合、投資家は相手国の裁判所を経ずに、国際仲裁機関に仲裁を申し立てて、相手国に賠償を求めることが可能になる。

1959年に締結されたドイツとパキスタンの投資協定で盛り込まれたのが最初であり、当初は、先進国と発展途上国の間で、先進国の投資家を保護することを目的としていた。だが、先進国間の自由貿易協定(FTA)でもISD条項が盛り込まれるようになったことで、米国企業などが相手国の規制や慣行を不当として賠償を求める事例が多発し、問題視されている。

日本が交渉に参加するTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)においても、ISD条項が盛り込まれる可能性があり、外国企業から政府が次々に訴えられる恐れがあるとして警戒する声も多い。

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