円キャリー取引 ( えんキャリーとりひき )とは?

円キャリー取引とは、日本円が長期にわたって世界的に低い金利水準にある状態を利用して、投資資金を円で借り入れ、より利回りの高いドルなどの資産で運用する投資手法。

円キャリー取引は1996年頃から活発化したが、その背景にはバブル崩壊後、円の長期的な低金利が予想されたことや、米国が1995年4月に為替政策をドル高政策へと転換したこと、そして日米通貨当局の為替介入姿勢からドル安・円高阻止への決定的な動きが読み取れたことなどがある。

円キャリー取引は通常の投資利益に加え、金利の差益を上乗せすることができるので、高い収益を上げることができる。主に巨額の資金を個人や法人の投資家から集め、為替や株式、債券など国際金融市場で投機的な売買を行うヘッジファンドが活発に円キャリー取引を行なっていると見られている。

円キャリー取引が多くなれば、円売り・ドル買いが進むため為替相場は円安・ドル高の傾向になる。国連貿易開発会議(UNCTAD)は、キャリー取引によって為替が不安定化するうえ、金利が高い途上国通貨が過大評価され貿易の発展を妨げると指摘し、懸念を表明している。

2006年3月には高金利通貨として人気の高かった豪ドルやNZドルの下落が目立つようになったが、これは日銀の出した量的緩和政策を背景に、円の金利上昇が観測されだし、ヘッジファンドが円キャリー取引のポジションを縮小させたことが大きく影響していると見られている。今のところ急激に金利差が縮まるとは考えにくく、依然円安の傾向が続くといえるが、各国の金利政策に変化が見られれば、円キャリー取引の解消が進む可能性もある。

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