二重責任の原則 ( にじゅうせきにんのげんそく )とは?

二重責任の原則とは、財務諸表の監査で、経営者と監査人の責任分担を示す原則のこと。「原則」という名前がついているものの例外の存在を想定するものではなく、より重要な、監査制度の成立基盤である「原理」であるといえる。

監査報告書の明記によると、財務諸表において経営者は、作成のみに責任を負い、監査人は監査結果のみに責任を負う。財務諸表に虚偽の表示があっても責任を負うのは経営者であって、監査人は責任を負うことはない。また、監査結果に問題があったとしても、責任は監査人にあり、経営者にはない。二重責任の原則は、「二重」という言葉の意味から連想されるような「1つの主体に対して2つの責任が同時に発生する」という意味ではなく、あくまで「2つの責任が別々の主体に発生する」という意味になる。

仮に二重責任の原則がなかったとすると、経営者や監査人が自ら作成した財務諸表を自分で監査する「自己監査」になってしまう恐れがある。自己監査に基づく何の信頼性もない財務諸表を利用した投資家は不当な損害を被る恐れがあるため、二重責任の原則によって責任を分担することで、自己監査を防止している。

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